病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.48(平成30年9月発行)

シリーズ 生活習慣病(2) 動脈硬化と虚血性心疾患・脳卒中

血管障害に関係する生活習慣病についての特集、前号は糖尿病・メタボリックシンドロームと慢性腎臓病 についてご案内しましたが、今号は脳・心血管障害についてご案内します。

食べすぎ、運動不足、ストレス、睡眠不足など生活習慣の乱れを背景にした高血圧や高血糖・脂質異常などの疾患は、動脈硬化の発症・進行に影響を及ぼします。動脈硬化によって心臓を取り巻く血管(冠動脈)が狭くなったり血の固まり(血栓)が出来て詰まったりすると狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患を発症し、適切な治療を行わずに放置すると致命的な心不全などを起こすことが懸念されます。また、頭に向かう血管や頭の中の血管が狭くなったり血栓で詰まったりすると脳梗塞の状態となり、脳の血管が破れて出血すると脳出血となって、いずれも脳や神経の働きに重篤なダメージを与えるため、麻痺などの後遺症を起こすことや認知症のリスクにもなります。

今回は前回から一歩踏み込んで、進行した合併症についての特集です。大変な合併症になる手前で、なった後でもこれ以上悪くならないために自分に何ができるか?生活習慣病はあなたの気づきで未来を変えられることが特徴です。よりよい明日のために、この特集を通じて一緒に考えましょう。

動脈硬化と虚血性心疾患

生活習慣と動脈硬化症

人間の動脈は加齢とともに硬くもろくなることが知られていますが、危険因子という基礎になる疾患があると動脈硬化は更に進行しやすくなります。動脈硬化の危険因子は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(悪玉LDLコレステロールが高い、善玉HDLコレステロールが低い)、喫煙、運動不足、肥満等が代表的ですが、いずれも悪い生活習慣と密接に関係しています。血中の悪玉コレステロールは、血管(動脈)の壁の内側に入り込みます。血液中の白血球がこれを追いかけて血管壁にたまっていきます。これら蓄積物はプラークと呼ばれ、血液の流れを悪くすることで虚血性心疾患や脳梗塞を引き起こします。

虚血性心疾患とは

狭心症と心筋梗塞のことをいいます。狭心症は動脈硬化によって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。階段を昇るなどの運動時に胸部圧迫感が出現しますが、安静にすると症状は数分以内におさまります。急性心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化部に生じた血栓と呼ばれる血の固まりによって突然血管が詰まり、心筋の細胞が死んでしまう病気です。強い胸痛で発症し、通常2 0分以上続くことが多いです。死に至る不整脈や心不全を合併することがあり、来院された方の6~7%が死亡される非常に怖い病気です。

虚血性心疾患の治療と再発予防

急性心筋梗塞では一刻も早くカテーテル治療を行うことが推奨されています。ステントと呼ばれる金属のコイルを血管内に留置して血液の流れを再開させます。この治療によって胸痛を除き、死亡率を減らすことができます。狭心症でも的確な診断のもとステント治療を行えば、胸痛がない生活に戻ることができます。しかし、動脈硬化の危険因子をそのままにしておくと、病気が再発したり、心不全を発症したりします。再発防止のためには薬剤の服用だけでなく、食事や運動を含めた適切な生活習慣を実践し、危険因子を管理することが重要です。

豆知識
心臓リハビリテーションと心臓病教室

当院では心疾患で入院された方の生活習慣を改善し再発を予防するため、「外来心臓リハビリテーション」を提供しています。有酸素運動を中心に服薬や食事について「良い生活習慣」が身につくプログラムを、医師、看護師、理学療法士、管理栄養士などの多職種が一緒になって考えています。また、心臓病についてさまざまな講義を行う「心臓病教室」を毎月第一、第二火曜日の13時30分から2回1セットで開催しています。こちらは当院の循環器内科・心臓血管外科に通院されている患者さんとそのご家族であれば受講できます。心臓リハビリテーション、心臓病教室に興味のある方は担当医師に詳細をお尋ねください。

脳卒中

脳卒中の5つの症状

以下のような症状が突然起きたら、すぐに病院に行きましょう

  • 片方の目が見えない、物が二重に見える、視野が欠ける
  • ろれつが回らない、言葉が出ない、言葉が理解できない
  • 力はあるのに立てない、歩けない、めまいがする
  • これまでに経験したことのない激しい頭痛
  • 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれ
脳卒中とは

脳卒中は脳血管障害とも呼ばれ、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の中の細い血管が破れて出血する「脳出血」、脳の太い血管に生じたこぶ(動脈りゅう)が破裂して脳の表面に出血が広がる「くも膜下出血」の3つに大きく分けられます。脳梗塞と脳出血の主な症状は、手足や顔の麻痺・しびれ、言葉の障害で、くも膜下出血の特徴的な症状は激しい頭痛です。どのタイプも重症になると意識がはっきりしないなど、状態が悪くなります。血管の閉塞や破裂は突然起こるため、症状は急に出現します。

日本では年間約10万人の方が脳卒中で亡くなっており、日本人の死因の第3 位となっています。また、命が助かっても麻痺などの後遺症が残ることが多く、寝たきりの原因として最も多い病気です。

脳卒中を起こさないように予防することが最も大切です。万一、脳卒中が起きてしまったら、できる限り早く治療を受けることが重要です。

脳卒中の治療

脳卒中が起きてしまったら、できる限り早く治療を受けることが後遺症を少なくするために重要です。特に脳梗塞では、t-PAという血栓を溶かす薬の点滴やカテーテルで血栓を取り除く手術により症状が良くなる可能性があります。脳卒中の症状が出たら、すぐに救急車を呼び、一刻も早く病院に行くように心がけてください。

脳卒中の予防

脳梗塞は、動脈硬化によって血管が詰まって起こる場合と、心臓などから血の塊(血栓)が流れてきて血管が詰まる場合があり、高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、不整脈(心房細動など)が主な原因です。脳出血の多くは高血圧が影響しています。定期的な健康診断などでこれらの病気を早く発見し、食事や運動、必要に応じて薬の治療を受けることが大切です。頚動脈の狭窄や脳動脈りゅうが発見された場合は、脳卒中の発症を予防するために外科手術やカテーテル手術が行われることがあります。

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