病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.44(平成29年9月発行)

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消化器内科

消化器がんの早期治療と予防に取り組んでいます。

積極的に検診を受けましょう。

消化器内科では、食道・胃・腸の消化管とそれを取り巻く肝臓・胆嚢・膵臓の病気を扱い、診断と治療を行っています。病気を早期に発見すれば、たとえがんであっても、体への負担が少ない消化管内視鏡下での切除治療や、細い針を使ったラジオ波焼灼しょうしゃく治療などが可能です。そのためにも症状が出てからではなく、市民健診、職場健診を定期的に受け、病気の早期発見に務めましょう。便潜血検査、肝機能検査などはお近くの医療機関でも受けることができます。また、胃ではヘリコバクターピロリを除菌し、肝臓ではC型肝炎ウイルスの治療を行うことで、がんの発症を予防することが可能となっています。これらは短期間の飲み薬で治療できます。感染していることがわかった時には、ぜひ専門医を受診し、治療について相談してください。

肝臓がん

病気の概要と予防

肝臓がんの最も大きな発症要因はB型及びC型肝炎ウイルスの持続感染といわれています。従ってB型・C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを知ることがまず肝がん予防の第一歩といえます。万一感染していることが確認された場合、B型肝炎は内服薬(核酸アナログ製剤)や注射薬(インターフェロン)により肝がんへの進展を抑制することが可能です。C型肝炎は内服薬だけの治療(インターフェロンフリー治療)によりほとんどの患者さんでウイルスを駆除することが可能になり、肝がんの発症を抑える効果も期待されています。

ウイルス性肝炎以外にも、長期的なアルコールの飲み過ぎは肝がんの発症リスクを高めます。また、最近肥満や糖尿病などを背景にした脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))から肝がんに至るケースが増えてきていますので、運動と食事の管理をし、適正体重を維持することも必要です。

診断

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝臓がんが発生しても初期の段階では大部分の患者さんには症状はありません。従って肝臓がんの発見には自覚症状がなくても定期的に血液検査で腫瘍マーカー(AFPやPIVKA-)の測定や超音波検査を行うことが必要です。さらに病状に応じてCTやMRIなどを追加し、がんを早期に見つけるようにします。

特にB型慢性肝炎、C型慢性肝炎や肝硬変などの肝がんの高危険群の患者さんは、より厳重な検査が必要になります。

治療および当院の実績

肝臓がんの治療ではまず肝切除術を検討しますが、初期のがんであれば手術以外に体への負担の少ないラジオ波焼灼しょうしゃく術(RFA)も選択肢となります。

RFAは超音波検査で肝がんを写し出し、身体の表面から直接がんに針を刺し、ラジオ波を流して熱を発生させてがんを焼き切ってしまう治療法です。大きさやサイズ、がんの部位により制限はありますが、直径2センチメートル以内のがんであれば再発率は切除の場合とほとんど変わらず、おなかを切開する必要がなく、針を刺すだけですみます。これらの治療が適応でないときにはカテーテル治療や抗がん剤治療を検討いたします。

C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療の実績は、平成29年5月末現在337例です。B型・C型肝炎の治療費は患者の世帯の市町村民税課税年額に応じ、その自己負担限度月額は原則1万円(上位所得階層は2万円)に軽減されます。

胃がん

病気の概要と予防

厚生労働省がん罹患りかん率予測(平成27年)によると、日本はにおいて胃がんは年間、新たにがんと診断されるがんの中で大腸がん、肺がんに次いで第3番に多いがんです。年間133,000人が新たに発症し、死亡数は49,500人と予測されています。早期発見されると完全に治すことも期待できるがんですが、胃がん検診率は約12%前後と低く、検診で胃がんと診断されるのは全体の5%程度です。大部分の胃がんはヘリコバクターピロリ感染(以下ピロリ菌)を原因とする萎縮性胃炎から発症する感染がんと考えられています。ピロリ菌を除菌することにより胃がんを予防することが可能となります。

従来、市町村が対策型胃がん検診として胃部X線検査を行っていましたが、最近は、新たに胃内視鏡検査を胃がん検診の検診項目として位置づけました。胃内視鏡検診では、早期胃がんの発見率向上のみならず、胃がんの原因となりうる萎縮性胃炎の診断が可能で、萎縮性胃炎と診断されれば、保険診療にてピロリ菌感染検査および除菌治療の適応となります。

診断

胃がんの診断には、上部消化管内視鏡検査が早期発見・治療に有効な手段です。当院では、特殊光を用いてモニター上で通常の内視鏡の約100倍程度の高解像拡大画像を得ることができる最先端の内視鏡で、早期がん(微小がん)の発見に取り組んでいます。

一方で、スクリーニング検査としては、体への負担が少ない経鼻内視鏡も積極的に導入しています。

治療および当院の実績

早期胃がんは内視鏡治療、進行胃がんは外科手術、再発・転移を有する胃がんは化学療法で治療を行いますが、当科では、内視鏡治療と化学療法を行っております。

当院に胃がんにて入院治療した患者さんは、平成28年度でのべ158例。うち内視鏡治療89例でした。特に当院では、早期胃がんに対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や、高齢者における進行胃がんに対する化学療法に力をいれています。

大腸がん

病気の概要と予防

厚生労働省がん罹患りかん率予測(平成27年)によると、大腸がんは年間、新たにがんと診断されるがんの中でもっとも多いがんです。年間135,800人が発症し、死亡数は肺がんについで2番目に多く、50,600人と予測されています。大腸がんは、早期の段階で治療を行えば高い確率で完全に治すこと(治癒)ができます。大腸がんは早期の段階では、症状を自覚することがありません。早期に発見するために、40歳以上の方は定期的に検診を受けることが勧められます。

診断

国の指針は大腸がんの一次検診の方法として、便潜血検査を勧めています。平成27年日本対がん協会のデータでは、便潜血陽性で大腸内視鏡検査を受けた患者さんの3.8%に大腸がんが発見されたと報告しておりますが、検診受診率が低いのが現状です。

米国大規模試験の結果、大腸内視鏡検査は76%の大腸がん発がんを抑え、53%大腸がん死亡を抑制したと報告されており、大腸内視鏡検査は大腸がん発見や治療およびその発生を抑制するのに有効な検査法です。

治療および当院の実績

早期がんは開腹手術せずに大腸内視鏡で取り去ること(摘除)ができるようになり、早期大腸がん全体の約60%は内視鏡による治療を行うようになりました。当院では、平成28年度に1,641人の患者さんの大腸ポリープを内視鏡的に摘除し、このうち109例(6.6%)が早期の大腸がんでした。大腸内視鏡で摘除できないないがんは、深達度・リンパ節転移・遠隔転移(大腸がんの場合は肝臓と肺に転移する傾向)の3つの状態に基づいて切除範囲を決め、開腹手術を行います。手術は外科にて行いますが、手術にて取りきれない場合、化学療法を行います。

豆知識

ポリープ切除における最近の治療方法

従来大腸ポリープ切除には、スネアー(ワイヤー)に高周波電流を流して焼き切る切除を行っていました。この方法は、確実に比較的大きな病変を一括に切除することが可能ですが、時間もかかり、出血や穿孔といったある一定の合併症リスクもあるため、小さな大腸ポリープは経過観察されていました。最近、小さなポリープに対しては、電気を通電せず、スネアー(ワイヤー)で「皮一枚をはぎ取るように」粘膜を切除する方法「コールドスネアポリペクトミー(CSP)」が広まってきています。当院でも積極的に小さな腫瘍性ポリープの切除を行っております。CSPは短期間に治療でき、出血などの合併症の頻度も少ないため、従来以上に外来において多くのポリープを治療することが可能となりました。

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