病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.37(平成28年1月発行)

バックナンバー

No.42 | No.41 | No.40 | No.39 | No.38 | No.37 | No.36 | No.35 | No.34 | No.33 | No.32 | No.31 | No.30 | No.29 | No.28 | No.27 | No.26 | No.25 | No.24 | No.23 | No.22 | No.21 | No.20 | No.19 | No.18 | No.17 | No.16 | No.15 | No.14 | No.13 | No.12 | No.11 | 特集号

→PDFデータバックナンバーはこちら

第13回 がん医療市民公開講座
「がんにならないために…、もしがんになっても…」

平成27年11月14日(土)阪急豊中駅前「ゆやホール」において、シリーズ第13回目の「がん医療市民公開講座」を開催いたしました。今回は、がんの正しい理解を深めて少しでも不安軽減につなげるよう「がんにならないために…、もしがんになっても…」をメインテーマに、院内外の4人の演者による講演をお届けしました。

第一講「がんにならないためには」

市立豊中病院 がん診療統括センター長 今村 博司医師

日本人の死亡原因の1位は、がんであり、がんで大切な命を失わないように、がんの予防を心がけることが大切です。日本人のためのがんの予防方法として、国立がん研究センターが挙げていることは、「禁煙」「節度ある飲酒」「バランスのよい食事」「適度な運動」「適正な体型」「発がん関連の感染症に対する対策」です。予防方法から分かるように「がん」は生活習慣病の一つとも言えます。「発がん関連の感染症に対する対策」としては、肝臓がんのリスクとなる肝炎ウィルス検査を一度は受けることや、胃がんの原因であるピロリ菌の検査を受けることなどです。
また、がんの原因がわからないことも多く、がんを完全に生活習慣で予防することは不可能なため、早期発見、早期治療につなげるため、がん検診を受けることが大切です。

がんは、早期発見早期治療生存率がこんなに高くなる
がんの種類 進行後(ステージⅣ)
発見の場合の生存率
進行後と早期発見の場合の生存率の比較 早期(ステージⅠ)
発見の場合の生存率
胃がん 8.0% 12.2倍 97.6%
大腸がん 15.1% 6.6倍 99.4%
子宮頸がん 22.2% 4.2倍 92.2%
肺がん 4.8% 16.7倍 80.3%
乳がん 33.3% 3.0倍 98.8%

だから、がん検診

第二講「もしがんになったら
薬の治療~副作用を乗り越えるコツ」

同志社女子大学 薬学部医療薬学科 特任教授 阿南 節子先生

がんの薬による治療のときに、吐き気、口内炎、だるさ、ケモブレインなどの副作用が起こることがあります。薬による治療中は脱水状態になりやすく、脱水状態は、吐き気や口内炎、だるさ、便秘などに繋がることから、副作用軽減のため十分な水分補給が重要となります。手足の皮が薄くなり痛くなる症状には保湿剤をこまめに使うことが有効です。口内炎にはアルコールを含まないうがい薬(塩小さじ1、重曹小さじ2分の1を1.5リットルの温湯に溶かした口腔リンス(重曹がない場合は、塩小さじ1を温湯1リットルに溶かす))で口腔内を清潔に保つことや、毎日1.5リットルの水分をとることなどが予防と対策になります。物忘れ、物事に集中できない、言葉がすぐにでてこないなどの症状があるケモブレインに対しては、覚えておくことをリストにしたものを常に持ち歩くことで対策ができます。また、副作用を乗り越えるには、医療従事者と上手にコミュニケーションをとることが重要で、自分の症状やつらいことなどを説明できるように、病歴、診療の記録、症状の記録、薬の記録、関わりのある医療従事者の名前や連絡先を一覧にした「私のカルテ」を活用することも役立ちます。

脱水チェック
  • わきの下は乾いていますか?
  • 指で爪を軽く押してください。
    すぐ(2秒以内)に赤みがもどりますか?
私のカルテ

病歴

  • 主治医、連絡先
  • 他の医師
  • 症状、診断日、治療
  • がんの家族歴
  • アレルギー(薬、環境、食品)
  • 入院(理由、病院名、日)
  • 手術(理由、術式、日、病院名)
  • 処方薬(薬品名、量、処方理由)
  • OTC(一般薬)(薬品名、量、処方理由)
  • ビタミン、ハーブ・サプリメント(品名、量、使用理由)

第三講「がん治療と生活の両立、就労支援について」

NPO 法人大阪がんええナビ制作委員会 理事長 濱本 満紀さん

家族ががんで亡くなるという経験の中で、がん医療の均てん化、がん治療薬の承認期間の短縮、抗がん剤治療医不足の解消を目的に患者会を設立しました。納得した治療が受けられるためには適切な情報が重要との思いから「よく分かる!大阪のがん診療NOW」「大阪がんええナビ」のインターネットサイト、勉強会、がんカルタ大会の開催など情報提供や支援に取り組んでいます。仕事を持ちながら、がん治療で通院している方は、32.5万人もいますが、がん罹患後に依願退職、転職、解雇された方もおり、就労や生活全般の支援にも取り組んでいます。昨年度「がん患者就労支援意見交換会」を開催し、仕事を辞めないための就労支援に必要な連携体制について多職種によって議論する中で、問題点としてあがったのは情報の共有でした。患者・医療者・勤務先の過不足ない情報共有による円滑なコミュニケーションがあることが、仕事を続けるためには欠かせないものです。また、弁護士、司法書士、社会保険労務士などが連携して対応する相談窓口である「どうするBOKS」に協力し、就労・生活面の相談にものっています。

第四講「当院のがん治療 - チーム医療で日常生活を支えながらのがん治療を実現する -」

市立豊中病院 がん看護専門看護師 二宮 由紀恵看護師

がんの症状や治療は、体だけでなく心や日常生活・仕事など社会面にも影響が出てきます。がんの治療と日々の生活の折り合いをつけていくことが必要になってきます。市立豊中病院では、チーム医療に取り組み、患者さんががんになっても充実した生活を維持できるよう支援しています。チーム医療とは、一人の患者さんに対して、複数の医療専門職が連携し、目的と情報を共有し、それぞれの専門性を発揮して、業務分担し、よりよい治療やケアの提供をすることです。チーム医療のチームのメンバーには、医療者だけでなく患者さん・ご家族も含まれます。
診断や治療の経過の中では、様々な職種がそれぞれの専門性を活かしています。また、患者さんの状況に応じて緩和ケアチーム、化学療法センター、栄養サポートチームなど専門的ケアを提供する医療チームが、主治医と連携した支援も行っています。がんになっても、生活は続いていきます。患者さんが自分らしい生活を維持できるようチームで支援していきます。チームメンバーである患者さんも、がんの療養の中で何を大事にして日常生活を維持していくのかを考え、医療者にお伝えください。

チーム医療を効果的に行うために…
  • 情報共有、目標共有
  • 多職種の参加
  • 専門性の高い看護師
  • 専門性の高い薬剤師
  • 患者・家族の参加
がん医療に対して構成される主な医療チーム(一部)
チーム名 目的・役割など 主な構成職種
緩和ケアチーム 患者さんの体や心の様々な苦痛を取り除く
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に努める
身体担当医師、精神担当医師、看護師(がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、がん化学療法看護認定看護師、がん放射線療法看護認定看護師、訪問看護師)、薬剤師、心理士、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、ソーシャルワーカー
栄養管理サポートチーム 入院患者の健康を栄養面から支援 医師(外科、内分泌科)、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、検査技師
摂食嚥下チーム 嚥下障害のある入院患者への支援 医師(神経内科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、呼吸器内科、歯科)、看護師、薬剤師、言語聴覚士、放射線技師、管理栄養士
褥瘡対策チーム 入院患者の褥瘡予防、褥瘡患者の治療と評価 皮膚科医師、看護師(皮膚排泄ケア認定看護師)、薬剤師、理学療法士
せん妄対策チーム 入院生活、治療にともなうせん妄出現の予防と対策 精神科医師、看護師(老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師)、臨床心理士
チームの活動

院内の患者状況の確認、依頼に基づく患者支援、カンファレンス・回診
職員教育(勉強会、研修)、ケアの質の維持・向上(マニュアル作成、ツール作成)

豆知識

日本人のためのがん予防方法

(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防」、「食生活とがん」)

1. 禁煙する
  • たばこは肺がんをはじめ食道がんなど多くのがんに関連します。吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まることもわかっています。
  • 禁煙は、がん予防の確実な一歩です。禁煙外来は保険診療で受診できる場合があります。
2. 節度のある飲酒
  • アルコールは、純エタノール料換算で1日23g程度まで。
    … 日本酒なら1合、ビールなら大瓶(633ミリリットル)1本、焼酎や泡盛なら原液で1合の3分の2、ウィスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル3分の1程度
  • アルコールに弱い人(すぐに顔が赤くなる)では飲酒によるリスクが特に高くなるという報告もありますので、要注意です。
3. バランスのよい食事
  • 偏食をしない。
  • 塩分摂取は最小限に(塩分の取り過ぎは万病の元)
    … 1日あたり男性9g未満、女性7.5g未満まで
  • 野菜や果物不足にならない。
  • 飲食物を熱い状態でとらない。少し冷ましてから口にする。
4. 適度な運動
  • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行いましょう。
  • 息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行いましょう。
  • 65歳以上の高齢者は、強度を問わず、身体活動を毎日40分行うことを推奨。
5. 適正な体型
  • 成人期での体型を適正な範囲に。
  • 男性は、肥満度の指標であるBM I(Body Mass Index)値で21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理しましょう。
    … BMIの求め方 BMI値=体重(kg)÷〔身長(m)×身長(m)〕
    87kg、180cmなら、87÷(1.8×1.8)=26.85
6. 発がん関連の感染症に対する対策
  • 地域の保健所や医療機関で、一度は肝炎ウィルスの検査を受けましょう。
  • 機会があればピロリ菌の検査を受けましょう。
ページの先頭へ移動