病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.33(平成27年1月発行)

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第12回 市立豊中病院 がん医療市民公開講座
「乳がん」予防・診断・治療の最前線から

平成26年11月22日(土)阪急豊中駅前「ゆやホール」において、シリーズ第12回目の「がん医療市民公開講座」を開催しました。
今回は「乳がん 予防・診断・治療の最前線から」をテーマに、当院外科部長の赤木謙三医師による「乳がんの診断と治療(手術)」、同外科医員の大島一輝医師による「乳がんの薬物療法」の2つの講演を行いました。

乳がんとは…

主に乳房内の乳腺(母乳を生成する小葉という房状の部分や母乳を送り出す乳管)に発生するがんです。乳がんのうち乳管からの発生が約90%、小葉が約5~10%となっています。年間で約6万人が発生し、現在では女性が発生するがんの中では1番多くなっていますが、発生から5年後の生存率は89%で、胃・大腸がんの約68%と比較すると高くなっております。女性のみのがんと思われがちですが、男性でも対女性比で100分の1~200分の1が発生すると言われています。他のがんは加齢とともに罹患率が上昇しますが、女性ホルモンが深く関わる乳がんは満50歳前後が発生のピークになります。
(資料:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)

なぜ日本人女性の乳がんが増えているのか?

食生活やライフスタイルの西欧化に伴う日本女性の内分泌環境・成長の変化や肥満の増加等が要因と考えられています。女性ホルモンにさらされる期間が長いほど乳がんの発生が増加するとされ、運動、授乳、大豆(イソフラボン摂取)などで減少するとされていますが、これらの要因の影響は10%程度といわれており、発生予防は難しく、現実的には発生後の術後療法・再発予防や検診による早期発見が有効です。

初期症状と検査・診断

発生する場所にもよりますが、多くの場合は無症状ですので、定期的な検診が必要です。
自己検診(※豆知識参照)としては、乳房のくぼみやひきつれがないか、入浴時に乳房全体を触ってみてしこりがないかを確認します。乳がん検診は、視触診やしこりの発見に極めて有効な乳腺エコー、石灰化の発見に有効なマンモグラフィー、病変の一部を採取して顕微鏡で調べる病理検査・病理診断(細胞診・組織診)等があります。

乳腺エコー

しこりの診断には極めて有効。
石灰化の発見にはあまり有効でない。

マンモグラフィー

マンモグラフィーはしこりや石灰化の検出にすぐれているが、乳腺の状態に影響を受ける。

進行の程度と治療

乳がんの進行の程度はステージ(病期)で表現します。ローマ数字で0期・Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期に分類され、乳房の中でどれくらい広がっているか、リンパ節転移があるか、骨や肺など乳房から離れた臓器への転移があるかなどによって決まり、治療方針も病期ごとにおおよその指針が決まっています。

病期分類
Ⅰ期
  • しこりが2cm以下
  • リンパ節転移なし
  • がん細胞が乳房内に留まっている
Ⅱ期

しこりが2cm以上5cm以下または、わきの下のリンパ節への転移あり

Ⅲ期

しこりが5cm以上に加えて、

  • わきの下のリンパ節への転移あり
  • 助骨のそばのリンパ節への転移あり

Ⅳ期
  • しこりの大きさは問わず、胸壁や皮膚の浮腫などがあるか
  • 遠隔転移あり(肺・肝臓・骨・脳)
  • わきの下のリンパ節への転移あり
  • 助骨のそばのリンパ節への転移あり
    手術不可

がんの状態により、推定される再発リスク、別の病気の有無、年齢、患者さんの希望等も考慮して治療方針を決定し、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法(ホルモン療法、分子標的治療、化学療法など)を単独または組み合わせて治療します。

乳がんの薬物治療

乳がんの薬物治療に用いる薬剤として、抗がん剤、ホルモン治療薬、分子標的薬(がん細胞に特有の分子を狙い撃ちすることで、副作用が少なく、がんを抑える効果を期待した治療法)があります。薬剤の種類によって、作用メカニズム、副作用などが異なり、患者さんの病状によって使い分けています。
薬物治療の目的は、大きく二つ挙げられます。手術可能な乳がんの場合は、術前療法または術後療法として手術に薬物治療を追加することで、再発を予防し、完治する可能性を高めることを目的とします。また、再発乳がんの場合は、治癒が難しいので、がんの進行を抑え、QOLを保つ事を目的とします。治療の進歩に伴い、再発しても「すぐに死に直結する病気」から高血圧や糖尿病のような「長くつきあう慢性病」に変化しつつあります。

当院での取り組み

がん患者さんは治療中、様々なストレスを経験します。当院では、乳がん患者さんに限らず、すべてのがん患者さんをサポ-トする取り組みも積極的に行っています。例えば、痛みなどの身体的苦痛、眠れない・不安などの精神的な苦痛、経済的に苦しい・仕事を続けられるかなどの社会的苦痛に対して、様々な職種が協力して対応するチ-ム医療によるサポ-ト体制が整備されています。

豆知識
月に1回自己検診!!乳房 自己検診で早期発見!

乳がんは、唯一自分で発見できる「がん」です。早期発見の為、月1回の自己検診を行いましょう。

いつすればいいの?

月経終了後、一週間以内(乳房のやわらかい時期)。閉経後の方は、毎月一定の日を決めて行いましょう。

方法は?
鏡の前でチェック!
  1. 自然な状態で立ち、両方の乳房を観察する
  2. 両手を上下し、正面・側面・斜めから乳房を観察する

◎チェックポイント!

  • 乳房に「くぼみ」「ひきつれ」「赤み」がないか
  • 左右の乳房の形に変化はないか
  • 乳頭にかさぶたやただれはないか
  • 乳頭から異常な分泌液はでていないか
入浴時にチェック!
  1. 手のひらに石鹸をつけて指をそろえ、指の腹で軽くおさえながら渦巻き状に乳房全体をさわる
  2. 乳首をさわる
  • シコリの有無を調べる
  • 分泌物はでていないか
ベッドやふとんで仰向けに寝てチェック
  1. 仰向けに寝て、腕を頭の後ろにおく
  2. 内側半分と外側半分に分けて指の腹でまんべんなく触る(左乳房は右手で、右乳房は左手で)
  3. わきの下から乳首までていねいに触る
  • しこりや硬い部分がないか
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