病院紹介:市立豊中病院について

市立豊中病院広報誌 病院だより No.30(平成25年12月発行)

バックナンバー

No.43 | No.42 | No.41 | No.40 | No.39 | No.38 | No.37 | No.36 | No.35 | No.34 | No.33 | No.32 | No.31 | No.30 | No.29 | No.28 | No.27 | No.26 | No.25 | No.24 | No.23 | No.22 | No.21 | No.20 | No.19 | No.18 | No.17 | No.16 | No.15 | No.14 | No.13 | No.12 | No.11 | 特集号

→PDFデータバックナンバーはこちら

第11回 市立豊中病院 がん医療市民公開講座- 膀胱がん・前立腺がんの診断と治療

平成25年10月5日(土)阪急豊中駅前「ゆやホール」において、シリーズ第11回目の「がん医療市民公開講座」を開催しました。
今回は「膀胱がん・前立腺がんの診断と治療」をテーマに、当院泌尿器科部長の三宅 修医師による代表的な泌尿器科がん2 つの講演を行いました。

膀胱と膀胱がん、前立腺と前立腺がん

膀胱とは

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓で作られた尿を一時的に貯留する一種の袋の役割をもっています。 膀胱の表面は移行上皮という名前の上皮で覆われ、伸縮性に富むことが特徴です。 膀胱がんは、この移行上皮ががん化することによって引き起こされ、 組織学的には移行上皮がんが全体の90%をしめています。

前立腺とは

男性のみにある栗の実大の器官で、 膀胱の下にあります。 内側にある移行域・中心域と外側にある辺縁域の3つのゾーンに分けられます。 前立腺がんは、高齢の男性に多く、無症状のことが多いがんです。

膀胱がんは…

膀胱がんは、50歳以降罹患率が高くなり、男性の方が女性と比較して3倍ほど多くなっています。高齢化により膀胱がんの死亡率が上昇していますが、諸外国と比較すると死亡率は高くありません。
膀胱がんの原因ははっきりしたことは分かっていませんが、喫煙者は非喫煙者に比べ2~3倍の割合で罹患するといわれており、ある種の化学薬品や染料を扱う職業の人も膀胱がん発症率が高いことも知られています。

自覚症状

膀胱がんの自覚症状としては、尿道組織の損傷による血尿、尿道狭窄等による排尿困難・頻尿・残尿感・尿意切迫、進行すると尿管や尿道の閉塞によりわき腹や背中の痛みを感じることもあります。
最も多い症状は血尿で80%近くを占めています。

膀胱がんの検診・診断・治療など…

膀胱がんの診断は、まず尿検査、そして尿を顕微鏡で診る尿細胞診、疑いが強くなれば内視鏡や生体検査等を行います。膀胱がんの患者の概ね3分の2が早期がん、3分の1が進行がんとなっています。
早期であれば内視鏡で削ったり、膀胱に薬を投与することで治療を行いますが、進行すると膀胱を摘出の上、抗がん剤での対応が必要となります。
早期発見に結びつく血尿は肉眼で分かるものと、検査で分かるものがあります。肉眼で分かるものでも痛みや不快感を伴うものは、早い段階で医療機関を受診されますが、それらの症状を伴わないものは放置されるケースが多く、がんが進行してしまいます。血尿が出たら必ず早めに近くの医療機関を受診しましょう。

前立腺がんは…

前立腺はどこにある?-その構造は?
  • 男性の膀胱の下にある栗の実大の器官・発生から増殖・成長に男性ホルモンを利用(男性ホルモン依存)
前立腺の働き

前立腺液を分泌して、精子の運動・保護に関与

3つのゾーンに分けられる
  • 移行域+中心域…尿道や射精官に接する内側の部分(内腺)
  • 辺縁域…被膜近く外側の部分(外腺)
前立腺がんの特徴
  • 高齢の男性に多い
  • 進行も比較的ゆっくりで、初期段階では尿道への影響も少なく、無症状のことが多いがんです
前立腺がんは…

欧米諸国でも非常に多く見られるがんで、米国では男性がんの罹患率第1位、死亡数が第2位となっています。日本の泌尿器科がんの中ではもっとも罹患率が多く、平成32年(2020 年) には男性のがん罹患数の2位になると言われるほど増加しています。

増加の原因は?

増加の原因としては、社会の高齢化、食生活の欧米化、PSA検査(血液検査)の普及による早期発見等とされています。他のがんと同じく進行すると生存率が低くなります。前立腺がんの多くは、男性ホルモンによって増殖します。

前立腺がんと前立腺肥大症の違い

前立腺がんは主に外腺(辺縁域)に悪性の腫瘍が発生するもので、初期の場合は自覚症状はありません。
前立腺肥大症は主に内腺(移行域)に良性の腫瘍が発生し肥大することにより尿道や膀胱を圧迫していきます。

前立腺がんの検診・診断など…

スクリーニング検査(一般検査)として主なものは、PSA検査(血液検査)があり、他に直腸診(触診)、経直腸的超音波(エコー)検査等がありますが、PSA検査の精度が一番高く、異常ありとされた80%程の人から前立腺がんが発見されています。その他の検査では50%を下回る精度となっています。組合せ検査で精度はさらに上がります。スクリーニング検査により疑いありとなった場合は、確定診断として前立腺組織を採取して検査する針生検を行い、確定となれば病期診断としてCT・MRI等の画像診断でがんの広がりを調べ、骨シンチグラフィにて骨転移の有無を調べます。

前立腺がんの治療

局所的治療として手術療法と放射線療法、全身的治療として内分泌療法(ホルモン療法)や抗がん剤治療等の化学療法があり、経過観察として定期的なPSA監視療法があります。治療法の決定には、患者さんの年齢、全身状態、がんの進展度・悪性度、そして患者さんの希望等の要素があります。

豆知識
PSA(前立腺特異抗原) 検査

PSAは前立腺特異抗原といい、健常男性の前立腺から分泌されるたんぱく質の一種です。
PSA検査は血液検査でこの数値を調べます。健常な男性であれば通常PSAが血液中に浸出することは微少であるため、値が高いと前立腺がんやその他の前立腺の疾患が疑われます。年齢が5歳以上になれば、または前立腺がんを発症した家族がいる人は40歳以上になれば、年に1回はPSA検査を受けたほうが良いとされています。

ページの先頭へ移動